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乙武さん、小学校の先生に

2007年03月21日 乙武さん、小学校の先生に

大学在学中の1998年に『五体不満足』(講談社)を出版した乙武洋匡さんが、この4月から小学校の教師に採用されることが報道されています。これは素晴らしいことで、杉並区の教育方針に賛同の拍手を送りたいと思います。

五体不満足『五体不満足』の「あとがき」には、次のように書かれていました。

「両親は、ボクが障害者として生まれたことで、嘆き悲しむようなこともなかったし、どんな子を育てるにしても苦労はつきものと、意にも介さない様子だった。何より、ボク自身が毎日の生活を楽しんでいる。多くの友人に囲まれ、車椅子とともに飛び歩く今の生活に、何ひとつ不満はない。」

まず、何よりも、彼の両親が素晴らしかったのでしょう。そこから乙武さん自身の精神的健康さが育まれたのだと思います。そして、友人達も、あるがままの彼をごく普通に受け入れたようで、『五体不満足』には、障害を持つ乙武さんが日常で自然にふるまい、自然に受け入れられた様子が描かれています。実際に、この本が話題になっていた頃、友人とビールを飲みながら生き方などを語り合っている乙武さんの日常的な姿がテレビに出ていたのを覚えています。

誰にしろ、人生の早い時期にさまざまな人と触れ合うのは良いことだと思います。そして、学校、特に義務教育の学校は、社会についても学ぶ場ですから、クラスが社会の縮図のようになっている方が望ましい。クラスの中にいろいろな人がいて、そこに何らかの障害を持つ人も偶然いるかもしれない。いや、むしろ、いるべきでしょう。もちろん、その場合は一層の教育的配慮で注意深く見守られている必要があります。だから、乙武さんが育った環境は、乙武さんだけでなく彼の友人たちにとっても、かなり優れた環境が自然に成立していたのだと思います。

最近、いじめの問題がまた大きく取り上げられています。しかし、いまだに、「いじめられる方にも問題がある」という意見を持つ人が見受けられます。私もクラスで話題にしたときに、その種の意見に同調する学生が少なからずいて驚いたことがあります。(話題の出し方によって違う反応が出た可能性もありますが。)

一般的に、世の中にはさまざまな個性の人がいるという認識が弱いのかもしれないですね。身体的な障害は、一見、絶対的なようでいて、事故や病気などで障害を負う可能性は誰しもが持っています。それは、ちょっと考えれば理解できることでしょう。しかし、それと同じように、精神的な、もしくは性格的な意味の「問題性」や偏りも、もともと相対的なものでしかないということは、あまりきちんと考えられていないようです。集団の中の「異質な存在」は、決して他人事ではない、むしろ自分こそが「異質な存在」なのかもしれない。そう考えると、「いじめ」は他人事ではなく、自分の問題だと捉える視点が出てくるはずです。

行政学科生は教師を目指すわけではないとはいえ、少なくとも公的職業につくことを目指すのですから、いじめや差別、弱者、障害者、福祉などの社会的な問題を考える力を身につけておく必要があります。 

乙武さんは、今度は主として見守る立場で教室に入ることになります。実際上の困難はいろいろあるでしょうが、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

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