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トルコを知ると世界史が分かる

2007年01月23日 トルコを知ると世界史が分かる

最近の新聞にトルコのEU加盟問題がよく取り上げられています。キプロス問題でトルコの対応が不充分として、EU側は、トルコの加盟交渉の一部凍結を決めたとか。それに反発して、トルコは態度を硬化させているようですね。

でも、EUといえば、ヨーロッパ連合のことです。イスラム教国のトルコは、何でそんなにEU加盟を強く希望しているのでしょう?

トルコといえば、ヨーロッパとアジアの境目にあります。地中海と黒海とをつなぐダーダネルス海峡(地中海側)とボスポラス海峡(黒海側)があり、その左上がヨーロッパ、右下がアジアと言われていますが、トルコはその両方をまたぐ位置にあるのです。

トルコというと、現在、我々は中東のアラブ・イスラム圏に属する国と考えることが多いですね。しかし、実は、中世のトルコの人たちは、自分たちの国を「ローマ帝国」と称していたそうです。実は、この地域は、古代ローマ帝国が395年に東西に分裂した後、東ローマ帝国(ビザンツ帝国、または中世ローマ帝国ともいう)として1453年まで存在した地域に当たり、つまり、その間はキリスト教(東方正教会)の地域だったのです。

この地域はイスラムのセルジュク・トルコ(1038年〜1194年)が優勢になり、やがて同じくイスラムのオスマン・トルコ(1299年〜1922年)に圧倒され、東ローマ帝国はとうとう1453年に滅亡します。

その後、オスマン・トルコは、東はアゼルバイジャンから西はモロッコまで、北はウクライナから南はイエメンまで支配する大イスラム帝国を打ち立てましたが、第一次世界大戦に対応できず、革命により1923年、トルコ共和国が成立します。

以後、トルコはイスラム教国でありながら、自国がかつてそこに属していた「西洋」化による近代化を目指すようになります。西洋側も、ソ連に南接するトルコを反共の防波堤として重視し、NATOやOECDにも加盟を認めます。そして、現在、トルコは最大の目標としてEUへの加盟(2005年交渉開始)を目指しているのです。つまり、トルコの人たちは、1453年〜1922年の間を除き、自分たちはずっとヨーロッパ人だったという意識が強いのですね。

トルコは、国民の大多数がスンナ派に属する、イスラム教穏健派の国と言われています。しかし、1983年には、隣国の地中海に浮かぶキプロス島の北部トルコ・イスラム系地域を占領し、「北キプロス・トルコ共和国」として一方的に独立を宣言し、大多数がギリシャ正教系住民である本来のキプロス共和国と対立し、紛争に発展しています。これが「キプロス問題」です。、「北キプロス・トルコ共和国」を正当な「国家」として認めているのはトルコだけで、国連もその正当性を否定しています。

フー、ようやく終わった。さあ、どうですか? 世界史で勉強する事項が現在の国際政治につながっていることを、まさに実感しますね。このように関連づけていくことにより、「未履修」の主対象として省かれがちな世界史も、ホラ、少しは分かりやすく、なったでしょう?

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